さも知ってるのように書いてますが、今回初めて知りました、ヴィルヘルム・グストロフ号。
1945年1月、ソ連軍の侵攻が進む中でナチスドイツ政府は、孤立した東プロイセンから
バルト海経由で住民を避難させようというハンニバル作戦を実施しました。
ヴィルヘルム・グストロフ号には1万人以上の民間人が乗り、うち5000人は子供でした。
ところがその船がソ連軍の魚雷を受けて沈んでしまうのです。
この本は若者四人がそれぞれに秘密を抱えながら、ヴィルヘルム・グストロフ号に乗り、沈没する
までを描いた本です。
「運命は狩人だ」「恥は狩人だ」といった構造的な繰り返しで、読み手を飽きさせない作品です。
「ペル・アスペラ・アド・アストラ」困難を通じて天へという意味ですが(p.122)それぞれの
若者はどうなるのでしょうか。最後まで目が離せません。