書籍名:セラピストのためのエクスポージャー療法ガイドブック
その実践とCBT、DBT、ACTへの統合
著者:ティモシー・A・サイズモア
出版社:創元社
DBTについて知りたくて借りた本2冊目です。
セラピーを受ける側が「セラピストのための」本を読んで良いものか
怪しいですが、面白そうだったので良いことにしました。
なにより図書館でDBTについて記述がありそうなのが少ないので仕方あるまい。
さて、この本はエクスポージャー法について基礎的な理論から、実際に
セラピーとして実施するためのアイデア集まで幅広く網羅しています。
私が読む主な目的は弁証法的行動療法(DBT)について深く知るためだった
のですが、エクスポージャー法が不安に対してどのように機能するか等も
記載されていて、読んでいて本当に勉強になりました。
で、問題のDBTについて。前回紹介した『パートナー間のこじれた関係を修復する
11のステップ』は 理論的な説明というのはあまりなくて、実際に練習する内容や事例等が
主でした。
こちらの『セラピストのためのエクスポージャー療法ガイドブック』では
創始者のリネハンが西洋の心理学から東洋思想に着目したというきっかけ
から、治療戦略や身につけるべきスキルなどの解説までを解説しています。
身につけるべきスキルというのはコアマインドフルネススキル、対人関係スキル、
感情調節スキル、苦悩耐性スキルの4つあるのですが、この中で
一番大事なのはコアマインドフルネススキルだということです。
コアマインドフルネススキルにも下位スキルがありますが(把握スキル、
対処スキル)このあたりの解説は省略します。
私が最も面白いと思ったのはコアマインドフルネススキルの考え方です。
リネハンによると人は3種類の「心(mind)」のうちの1つの状態にあって、
3つのうちの「理性的な心(reasonable mind)」は、合理的、計画的に考え
られる冷静な状況と「感情的な心(emotion mind)」にある人は感情が
その人の行動を支配している状態のことをいうそうです。
そして弁証法に従って、理性的な心と感情的な心のバランスがとれた状態のことを
「賢明な心(wise mind)」と呼びます。
コアマインドフルネススキルを訓練することで、出来る限り「賢明な心」
の状態で判断したり行動することが望ましいという考え方です。(p.125)
「理性的な心」も「感情的な心」も重要で、2つがぶつかって新しい考え
方になるというのはなるほどそうだなと思いました。
「パートナー間のこじれた」で何度も何度も「判断を下さずに説明する」
ことを強調していたのはこういうことだったのかと思いました。
判断を下さずに説明するというのは「今」「ここ」に注意を向けて
(例えば今食べている物)、それを変えようとせずにただ受容すること
です。
読書日記を書いていて思うのですが、本の内容をちゃんと説明しようと
ある程度俯瞰した状態で本の内容を把握しないといけないんですね。
それは本の内容全てである必要はないけれど、今回で言うと6章「弁証法
的行動療法とエクスポージャー療法」の中のどこに何が書いてあって、
その中でどの内容をピックアップするかを選ぶ。
つまり、選ぶ過程で自分の中で重要だと感じた部分(感情的な心)と
日記で説明出来る部分(理性的な心)の両方が必要になってくるという
わけです。
分からないところは飛ばしつつ、分かるところだけ引用しながら自分の
文章を書く、これが受容するということになるかと思います。
この受容っていうのが難しいです。
前回の『パートナー間のこじれた関係』でも
書いたんですが、どうしても「べき思考」が出てくる。
ここで「べき思考が出てるな~」と冷静にとらえられるといいんですが、
感情が高ぶっているときは「べき思考をどうにかしなきゃいけない」と
考えがちです。(判断を下している)
ええと、話がとっ散らかってしまいました。
この本ではそういうコアマインドスキルやそのスキルを使いつつ、不安
や認知の癖に暴露する方法などについて詳しく書かれています。
表題の「実践とDBTへの統合」ってことですね。
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