お母さん(お父さんから見れば最愛の妻)を亡くしたカリプソは
お父さんに強い心を持てと言われながら育ちました。
カリプソは母の残した本を読んだりして学校でも孤独に過ごしていました。
ところがある日、メイという少女が学校に転入してきました。
メイはカリプソと同じ読書好きで頭も良く、二人はすぐに仲良くなります。
「言葉って、食べ物みたいだと思わない?」
「それぞれに味があって、口あたりがちがう。ほら、怜悧と才気煥発は意味は
似てるけど、感じがちがうでしょ(略」(p.21)
初めてそんなことを言われたカリプソは頭がショートしてしまいますが、
一気にメイの魅力に惹きつけられます。
そんなカリプソにはある問題がありました。
お父さんです。
はてしない物語のバスチアンのお父さんみたいに、自分の世界に引きこもって
レモンの歴史についての本を書いてばかりです。
カリプソを放置気味にし、家事も買い物もろくにしてくれません。
そして、こっそりお母さんの蔵書を倉庫にしまい込み、本棚に
レモンを飾り始めたのです。
本好きのカリプソはそれを見てショックを受けます。
そして感情的になって本をどこにやったのかと聞きます。
この場面は読んでてつらかった。
その後カリプソは「家族の面倒をみる子供の会」に参加するようになり
お父さんはカウンセリングを受けるようになります。
でもある日事件が起きます。
せっかく完成したレモンの歴史の本が出版社から出版拒否をされてしまう
のです。
それにショックを受けたお父さんはソファにほぼ寝たきりになってしまったのでした。
このままだと自殺するんじゃないかと不安になったカリプソはつきっきりで
お父さんの世話をします。
そして気づくのです。
「ひとりぼっちより、ふたりでいるほうがいいと気づく。(中略)なぜならそうした
ほうが、人生はぜったいにすばらしくなるから。ひとりのときより、百万倍も、
千万倍も。」(p.233)
幸いなことのカリプソのそばには素敵な家族のいるメイがいました。
メイと仲良くし続けていたことで、カリプソは今まで体験したことがない
ことばかりを体験します。
秘密基地作り、小説の電子出版、そして楽しいクリスマス。
クリスマスはここ何年も楽しんだことのない行事でした。
そんなこんなで一悶着はありますが、お父さんも現実の世界に戻ってきます。
最後にはメイのお父さんといい友人関係を築いて話は終わります。
辛い話でしたが読んでよかったです。
ワンダーも穴も読んでみようと思いました。
ジェリーフィッシュノートと正反対の話という感じがします。