現実逃避したくなる程度には読んでてしんどい話でした。
友人と喧嘩別れ(まあそれ以前に関係は破綻していたんですが)した直後に
その友人が海で溺れて亡くなります。
その子は泳ぎがうまかったのに、溺れるはずないと思った主人公スージーは
死因はイルカンジンクラゲじゃないかとクラゲについて調べ始めます。
そして友人との別れを受容できるまでの話です。
ええと、スージーの社会性の未発達な描写が幼い頃の自分を思い出させてつらいです。
スージーとは違う形でもっと静かに関係が破綻した友人のことを思い出してしんどいです。
最後クラゲ博士に会いに行こうとして失敗する時が結構胸が痛いです。
アメリカの家出で親のクレジットカード無断で使うのはあるあるなのかなと思いました。
ソースは映画インサイドザヘッドとこの作品。
でも、あんなに賢い子のなのにビザのこと見落とすのは変なような感じがします。
とにかく心ヒリヒリする話です。
途中途中の含蓄あるクラゲ話が頭に入ってこない程度にはやられました。
あ、でもここいいなっていう章があったので引用します。
この子の感性この方向にいい感じに伸ばせれば素敵なアーティストか何かになれるんじゃ
ないかと思わせてくれる一節です。225ページ。
「ひょっとすると、人の最期って、実際に死んだ日じゃなくて、その人のことを、だれも
話さなくなったときなのかもしれない。死んでも本当には消えていなくて、輪郭だけ見える
暗い影になっているの。やがてみんなに忘れられていくと、輪郭も徐々に闇に溶けていき、
とうとう地球上ではだれもその人の名前を口にしなくなる。そのときがその人の最期で、
そばかすのついた鼻先や、ほほえんだくちびるも、永遠の消えてしまうのだ。
もしこれが本当なら、だれかが死んだあと、その人の名前を口にしないほうがいい。
だって名前をいうということは、いつかはいわなくなるときがくるってことでしょう。
そうしたら、そのとき、その人は永遠に消えてしまうことになるから。」