「それでもなお、彼女たちには自分から語らないことや、インタビューの席で誰からも
面と向かって訊かれなかったことがあります。その『語られなかったこと』
『訊かれなかったこと』に興味深い真実が隠れているのです」(p.18)
実にシャーロックホームズ的な前書きで始まるこの本は、1998年の宇多田ヒカル、椎名林檎、
aiko、浜崎あゆみをそれぞれインタビューや背景などから分析したものです。
曰く音楽業界の終わりの始まりの年だったと著者は結論付けています。
タイトルの「1998年の宇多田ヒカル」、すごく刺激的な書名をつけたなと思います。
1998年というと私は記憶はあるけど結構あやふやな時期で、でもautomaticのメロディーは
強く印象に残っています。
当時は姉の影響を強く受けていて、姉は宇多田ヒカルにすぐ飛びついていました。
もちろん椎名林檎のにも。
aikoと浜崎あゆみには姉はあまり反応してなかったですね。
当然私もあまり興味を持ちませんでした。
ああ、タイトルの話をしたかったんだった。
1998年の椎名林檎じゃだめだったのは、影響力もさることながら
その文字面が決め手になったんじゃないかなと思います。
数字、漢字、ひらがな、カタカナ。
日本語で使われる表記を全部使ったこの書名は秀逸だと思います。
身近にいそうで、でもなんとなく謎をはらんでいて、都市的でオシャレ。
宇多田ヒカルのイメージは私の中でこんな感じなんですが、そんな私が
思わず手に取った1冊です。
宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ、それぞれに章があるので
誰か1人のファンって人はきっと興味深く読めると思います