2017年10月17日

*読書日記『坂の途中の家』角田光代

先日階段で滑って転んで尾骨にヒビが入ったはぴたんです。
全治1ヶ月だそうなので、しばらくおとなしくしてます。
全然歩けるんですが、念のため。
ですが元気です(謎の元気アピール)

さて、読書日記。
図書館で予約してから1年くらい待ったかな。
でも待った甲斐がありました、これは面白いです。
読後の感想は震える舌以来の「これはすごい作品だ」というもの。
なんですかね、一度読み始めたらページをめくる手が止まらないんです。

簡単にあらすじを述べると裁判官制度の補欠に選ばれた主人公が
自分の子育てについて考え、夫の隠された悪意に気づいていくまでの話です。
伝わらないな、ちょっと長いですが引用します。

「暴力など一度もふるったことがない。ものを投げたこともない。声を
荒げたことも、脅すような言葉遣いをしたこともない。陽一郎とふつうに
会話していると里沙子はずっと思っていた。最初に感じていた違和感は、
面倒を避けるためのみこめばすむものだった。
けれど実際は、青空のような陽一郎は、静かな、おだやかな、こちらを
気遣うようなもの言いで、ずっと私をおとしめ、傷つけてきた。私にすら、
わからない方法で。里沙子はそのことだけは、今やはっきり理解している。」
(P.395)

なんすかね、この共感できる文章は。
陽一郎のような人っていますよね。
私も何度か遭遇したことがあります。
何か話すたびに自分の話につなげて、マウンティングしてくる人とか。

もうね、この小説の主題って隠された悪意だと思ったんですね。
裁判官制度とか、子育てと虐待とか、そういうこともテーマとして扱ってる
のかもしれないですけど、私はこの文章が作者が一番書きたかったことなんじゃないか
って感じるくらい読んだ瞬間衝撃的でぐわーってきました。

久しぶりにこれお勧めって積極的に言いたい小説です。
posted by はぴたん at 21:54| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月01日

*読書日記『九時の月』デボラ・エリス

久しぶりの読書日記は心えぐる悲恋の物語です。
イランに住むファリンは退屈な毎日を過ごしていました。
そんな中、サディーラという美しい女の子が学校に転校してきました。
ファリンはサディーラと恋に落ちます。
でもイランでは同性愛は罪で、サディーラは死刑、ファリンは
パキスタンに亡命(かな?)をすることになってしまいます。

タイトルの九時の月とは、ファリンとサディーラの約束、
毎晩九時になったら月を見上げることからきています。

まだ二人が幸せだった頃の占いで出た言葉が印象的です。
「愛を歓喜する心に、死のつけいるすきまなし。
われらの不死は、生命の本に刻みこまれていばなり」

一見良さそうに聞こえますが、後に起こる不幸な出来事が
象徴的に描かれているような感じです。
生命の本というのは、作中で主人公が書いてる小説のことですね。
その本の中にしか二人の愛はないということなのだと思います。

そしてこれ、色々とフェイクを入れた実話だそうです。
切ないというか胸が痛い。
posted by はぴたん at 21:46| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月26日

*読書日記『カーネーション』いとうみく

最初から痛々しい話。
全ては見返しの部分に載っていますので引用します。
「あたしは、まだ母に愛されたいと思っている。
いつか母は、私を愛してくれると信じている。

そんなことは無理だとわかっていても、あたしはあたしの
深いところで、いまも願っている。」

まあ御察しの通りです。
お母さんに嫌われている娘がいかにして母を棄てるか。
そういう話なんで、途中つらいエピソード満載です。
ちなみに私はこの本で三回本を閉じました。

一回目はお母さんに自由帳を破られるエピソード。
二回目はお母さんのために野菜炒めを作ったら怒られた話。
三回目はプレゼントを妹にメチャクチャにされた瞬間。

一個ずつ紹介してると私のハートが擦り切れるので、自由帳の話だけ。
お母さんがある日「自由帳を買ってきたよ」と言われたので、つい
「自由帳まだあるよ」と娘が答えてしまったら、突然母親に
自由帳をビリビリに破られてしまったというものです。
ねえしんどくないすか。

でも最後、お母さんと離れるという形で母を棄て、共存できるようになったので良かったです。
こういう本もっと増えて欲しいです。
posted by はぴたん at 20:34| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

*読書日記『片思い』東野圭吾

600ページ超えの分厚いミステリです。
ふっと夕方思い立って夜のうちに読み終えてしまったくらい面白い話でした。

感想としては、これは一種の妊娠小説だなあということ。
(妊娠小説とは何かについてはhttp://utagiku.jugem.cc/?eid=210が詳しいです)
要は望まない妊娠をして、中絶するシーンが出てくるのですが、それが結構
主人公夫妻にとって致命的な状況なんですね。

えー、なんでそこまで妊娠したくないのにピル飲まないのって思うのは多分少数派。

あと、キーパーソンの美月が子供を残して家を出るくだり。
描写されてないけど、残された子供は相当ショックだったろうなと不憫に思います
多分自分は捨てられたんだと思ってその後の人生に大きな(多分に負の)影響を与えるんだろうな。

と、面白かったこそぐだぐだ言いたくなる小説です。
posted by はぴたん at 19:33| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月12日

*読書日記『止まった時間』松本麗華

オウム真理教の松本智津夫被告の三女であるアーチャリーの手記です。
読んでると愛情深い父親だったんだな、父親には愛されてたんだなと感じます。
一方で母親はちょっと問題がありそうな印象を受けました。

地下鉄サリン事件、当時私は小学校低学年だったのですが、あの時の恐怖は
未だに記憶してます。
テレビでオウム関連の報道や特集があると怖い怖い言いながら見ます。
それくらい当時の私には衝撃的な団体でした。
一時期紫色が嫌いになったのは御察しの通りです。

さて、この本は松本一家が船橋に住んでいた時から話が始まります。
そして事件までの楽しかった日々。
何せ教祖の三女ですから遊び放題です。
事件、逮捕。
そして嵐の後の人生が綴られています。
スーパーで買い物していたら報道局員に見つかって逃げたとか、
アーチャリーだとばれた時にコンビニバイトを辞めさせられたとか。

特に記憶に残るのが母親との決裂の時に言われたという言葉。
「組織は立ち上げる時が一番大変なの、解散したら終わりなのよ」というものです。(意訳)
あー、おっかさん教祖の代わりに本も書いてたし、色々苦労したんだなというのが
よく分かりました。
まあ、それと罪は別ですけどね。

松本麗華さんは事件当時12歳くらいの本物の子供だったので罪はないと思います。
こんな家庭に生まれてしまって不幸に思えるかもしれませんが、本人曰く
これで幸せだったと言っているので、まあいいんでしょう。

面白かったですが、図書館で借りて正解かなと思う次第です。
posted by はぴたん at 00:00| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする