2016年05月01日

*読書日記『帰還兵はなぜ自殺するのか』デイヴィッド・フィンケル

書籍名:帰還兵はなぜ自殺するのか
著者:デイヴィッド・フィンケル
出版社:亜紀書房

原著タイトルは「THANK YOU FOR YOUR SERVICE」、勲功に感謝をといった
意味でしょうか。
アフガニスタンやイラクに派兵された兵士達が帰国後、ひどい鬱やPTSDに
苦しめられている人々(兵士やその家族)の様子を描いたノンフィクションです。

冒頭からうっとなるような描写があって読み切れるかなと心配だった
のですが、途中からなんだか距離を取ることが出来たので全部読めました。

ある兵士は言います。「悪霊のような物に取りつかれずに帰ってきた者は
ひとりもいないと思う。その悪霊は動き出すチャンスをねらって
いるんだ」と戦争に行く前と変わってしまった自分のことを語ります。(p.17)

また軍隊での元上司に「お前は何も悪いことはしなかった」と言われた
トーソロという兵士は「わかってる」と応じられたらどんなに良いかと
思う反面、同時に自分が悪いことをしたことが分かっていると仲間を
助けられなかったという思いに囚われています。(p.226)

この2つの場面は、私とは全く異なる経験をしているというのに、なぜか
すごく腑に落ちたのです。
たぶん、自分のコントロールから外れている感じ、全く制御できない何か
に対しての無力感に共通する何かがあるんでしょうね。

この本では派兵後、戻ってきた夫の大きな大きな変化や状態に向き合う
家族の様子も描かれています。
暴力を振るわれたり、喧嘩ばかりしあったり。

夫を自殺で亡くしたクリスティという女性はカウンセラーからPTSDと
診断され、「フィーリング・ワード・リスト」なるワークを与えられます。
それは347語の感情を表す単語の中から一つの単語を選び、それを
「いま感じている」「感じていた」という文章とともに書くというものでした。
(p.226)

(余談ですが、初めて聞いたので検索をかけてみたんですが、日本語だと
あんまり参考になりそうなページはありませんでした。英語のサイトで
感情を示す単語を羅列したサイトはありました)

今回引用ばっかりの感想になってしまいましたね。
図書館で半月ばかり待って借りた甲斐がありました。
(なぜか分からないのですが、借りてる人が続出しているみたいです)

帰還兵が自殺する理由、それは名言はされていません。
目の前でこの本に書かれているような出来事があったら、帰国しても
その記憶が夢に出てくる、今までの家族との関係が変わってしまう、
もし自分の感情がコントロールできないほどになってしまったら、
これら全てもしくはそれ以上のことが起きたら自殺もしたくなるだろうと
いうことです。
posted by はぴたん at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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