あんまり希死念慮のことばっかり書いていると実行するのではないかと心配されそうですが、
大丈夫ですよ、ここで吐き出すことで生き延びているんですよと示すために読書日記でも。
鼻めがねという暴力、サブタイトルは「どうすれば認知症の人への虐待を止められるか」
介護職の人向けに書かれているんでしょうが、介護に縁がなくても非常に読みやすかったです。
タイトルの「鼻めがねという暴力」というのは、介護用グループホームなどでクリスマスや
誕生日などで開かれるイベントの場で利用者にパーティーグッズの鼻めがねをかけさせて、
可愛いなどと言って笑う行為を指しています。
この行為が問題なのは本人が望んでそのグッズを身に着けているならともかく、その場の
状況も理解できないような認知症の人に着けさせていること、そしてそれを嗤うことです。
私がいじめの被害者だったから特に強く思うのかもしれないのですが、周囲の嘲笑は
とんでもない暴力です。
嫌だとも止めてとも言えない、言っても相手にされない状況で周囲に嗤われるのは
本当に傷つきます。
そしてそれは認知症になっても傷ついた感情は嫌な記憶となって残ります。
読み始めて最初に気付いたのは、テレビなどで介護の特集番組を放送している時の
違和感でした。
たまに、利用者の人への言葉遣いがタメ口だったり子供相手の話し方だったりする時が
あるんですが、「え、その言葉遣いって失礼じゃないの」とよく思っていたんです。
本書の中では利用者へのタメ口が虐待の一歩手前の例として挙げられています。
長い付き合いで相手との関係でタメ口が許容されている状況でなければ、
介護者→利用者への力関係を固定し、介護者は利用者に言うことを聞かせて当然という
空気を作り出すので避けるべきだとしています。
敬語、私が通っている病院でもタメ口を使う関係のスタッフさんもいますが、私からは
できるだけ敬語か崩した敬語(〜っす)を使うようにしています。
これは私は利用者、スタッフはスタッフという立場の違いはあっても対等な関係だと
思っているからです。
いやもちろんスタッフさんの方が力関係としては上にいるんですが、それでも違うと
思ったことはきちんと言います。
これがスタッフさん全員が揃ってタメ口で話しかけてくるようだと、距離感が
縮められすぎてると感じて引いちゃうでしょうね。
閑話休題。
この本ですが、介護職だけではなく、看護や医療の立場にいる人にも役立つ
内容なんじゃないかなと思います。
普段の利用者への接し方について、改めて考えるいい機会になりそうです。
(本書内で紹介しているセンター方式という記入シートは、私が対象者になって
記入されたらしんどいなと思いますが、それについてはうまく説明できないので省きます。
だって、だって似顔絵が描かれるらしいですからね、醜形恐怖の私としては願い下げです)